皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
すると王妃陛下は、ふふっと柔らかく笑った。

「あらあら、やっぱり。」

そして隣の扉を指差す。

「アレシオ、あなたに“おやすみ”を言いたくて、うずうずしているのよ。」

まるでお見通しといった様子で、王妃陛下は私の背をそっと押した。

戸惑いながらも、私の足は自然とその扉に向かっていた。

──そして私は、アレシオ殿下の私室の前に立つ。

静かに扉が開かれ、優しい声が響いた。

「セラフィーヌ?」

アレシオ殿下は驚いて立ち上がった。

その姿は軍服を脱いだ、くつろいだ服装だった。

「アレシオ。」

王妃陛下がアレシオ殿下にそっと耳打ちする。

「あなたも男なら、彼女の気持ちを受け止めなさい。」

「えっ?」

そして私を見つめるアレシオ殿下をよそに、王妃陛下は部屋を出て行った。

「困ったな。おやすみだけ、言おうとしていたのに。」

それは、恋の続きを知りたがる声だった。
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