皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「……あの、そろそろお休みになる時間では?」

沈黙に耐えきれず、私は声を絞り出す。

「明日の公務に差し支えます。」

けれど、アレシオ殿下は私の言葉に微笑むと、そっと私の手を取った。

そのまま手の甲に、優しくキスを落とす。

「一緒に……眠ってくれるだろうか。」

その囁きに、心臓が跳ね上がる。

「えっ……あっ、その……」

言葉を探す間もなく、アレシオ殿下の腕が私の体をふわりと持ち上げた。

「で、殿下っ……!」

驚く私に、彼は小さく笑って耳元で囁く。

「このまま……君を連れ去りたい。」

その声は、本気とも冗談ともつかず。

でも私は気づいていた。

この人は今、本当に私を欲してくれている。

そう思っただけで、目の奥が熱くなるのだった。

アレシオ殿下はそっと私を抱き上げ、柔らかなシーツの上に寝かせた。

目が合う。見下ろすその瞳が、切なげに揺れていた。

「……いい眺めだ。」

その声に、胸がきゅっと鳴る。
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