皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
その光景に、私の胸も不思議とあたたかくなる。

──ああ、今だけは、ただ彼の隣にいられることが嬉しかった。

「セラフィーヌ、デザートは別室に用意してある。ゆっくり二人きりで話せるように。」

「はい」私はそっと頷いた。

この夜が、ずっと続けばいいのに。

そんな想いが、胸の奥で静かに灯っていた。

そしてデザートは、アレシオ殿下の私室に運ばれた。

「うーん、このケーキ。最高!」

口いっぱいに頬張って笑う私に、アレシオ殿下は目を細めて微笑んだ。

「それはよかった。アイスと迷ったんだよ。」

「このケーキで正解です。幸せになります、これ。」

私の言葉に、彼は満足そうに頷くと、ワインのグラスを傾けた。

「君といると、本当に楽しいな。」

「……ありがとうございます。」

素直な気持ちを返すと、アレシオ殿下はそっと手を伸ばし、ナイトウェア姿の私を優しく抱き寄せた。
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