皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「正直、お相手が公爵令嬢で安心しました。」

私はそっと微笑んだ。

「マリアンヌ皇女もいいかと思いますが、あの方は誇りが高いので、皇太子殿下はご苦労されると思います。」

モエナのその言葉に、私は思わず背筋が伸びた。

皇太子殿下の妃候補として、マリアンヌ皇女の名は幾度となく耳にしてきた。

高貴で聡明、誇り高く誰よりも皇妃にふさわしいとされる女性──。

「……モエナ、その話はもういいだろう。」

アレシオ殿下が少し苦笑して言葉を遮った。

「セラフィーヌを前にして、それはあまりに失礼だ。」

「いえ、大丈夫です。」

私はそっと微笑みを返した。

モエナは少し目を丸くした後、穏やかな笑みを浮かべた。

「まあ、なんとお優しい方。これは殿下が夢中になるのも当然ですね。」

「モエナ!」

アレシオ殿下が照れたように咎めた声を出すと、侍女たちはくすくすと笑った。
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