皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「……ごめん。カッコ悪いな、俺。余裕なくして。」

顔を近づけて謝る彼の頬を撫で、私はそっと抱きしめた。

「ううん。そんなアレシオも……全部好きよ。」

そう伝えた瞬間、彼は私の唇を貪るように塞いだ。

「ずるいよ……君だけ、こんなふうに心を掻き乱して……俺ばかりが、どうしようもなく、君を求めてる……」

その苦しげな囁きすら、甘くて愛しい。

私はただ、彼をもっと強く抱きしめた。

「ううん……私も……アレシオが欲しいっ!」

その言葉を口にした瞬間、彼の瞳が熱を帯び、私たちは再び唇を重ねた。

肌と肌が触れ合い、鼓動が重なり、互いの吐息が絡み合う。

まるで世界に二人きりしか存在しないかのように、静かで、甘くて、切ない夜が始まった。

「こんな……甘美な世界があるなんて……知らなかった。」

ふと漏れた私の言葉に、アレシオが微笑みながら囁く。
< 145 / 234 >

この作品をシェア

pagetop