皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
侍女の言葉が聞こえてきた。

「マリアンヌ皇女?」

私がそっと私室のドアを開けようとすると、突然ドアが開いた。

「あら?なぜ殿下の私室に、公爵令嬢がいるのかしら?」

そう言うとマリアンヌ皇女は、部屋の中に堂々と入って来た。

「あの……アレシオ殿下にここにいるようにと、仰せつかっております。」

「へえ。」

マリアンヌ皇女は、その場に立ち尽くす私を、じろりと見下ろすように視線を這わせた。

まるで、私の存在そのものを確かめるかのように。

そして小さく笑う。

その笑みには、明らかな敵意と優越感が滲んでいた。

「殿下が、貴女に? “ここにいなさい”と?」

その声音は柔らかく、けれど言葉の棘は鋭い。

私は背筋を伸ばし、できる限り冷静な声で答える。

「はい。午前中はご公務がおありとのことで、午後にはご一緒に庭園を散歩しようと……そうお約束をいただきました。」
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