皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
それを聞いたマリアンヌ皇女は、ふっと鼻で笑った。

「まあ、まるで恋人みたいな物言いね。ずいぶんと親しげじゃないの。」

「そういうつもりでは──」

慌てて否定しかけた私の声を、彼女は遮るように続けた。

「けれど……この部屋に“入ること”がどんな意味を持つのか、貴女はわかっているのかしら?」

私は言葉を失う。

確かに、皇太子の私室に“招かれる”ことは、軽んじていいことではない。

それがどれほどの意味を持つか、私だって理解しているつもりだった。でも──。

「まるで妃気取りね。公募で“選ばれた”令嬢は、そんなに特別待遇されるの?」

その言葉には、嫉妬だけではなく──何か焦りにも似た感情が混ざっていた。

彼女は皇女。私など比べ物にならない高貴な存在。けれど、その彼女の目が、ほんの一瞬揺らいだように見えた。

「私は……ただ、殿下のお言葉に従っただけです。」

するとマリアンヌ皇女は一歩だけ私に近づき、小声で囁くように言った。
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