皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
その一言に、私は言葉を失った。

王の背を支える覚悟。

それは、光ではなく影の道を歩むこと。それでも、私は――。

「それに、アレシオ本人が、マリアンヌ皇女を選んでないじゃない。」

王妃様のその一言は、まるで私の胸の奥を見透かすようだった。

「……結果を、引き延ばしているのでしょう?」

言葉に詰まった私の前に、侍女がそっとティートレイを置いた。

中央のベンチに並んで腰を下ろすと、ふわりとやさしい香りが立ち上る。

「王妃様は、ハーブティーがお好きなんですか?」

カップを手に取りながら、私はおそるおそる尋ねた。

「そうよ。親しい人とはね。」

王妃様はふっと微笑んだ。

「紅茶ではなく、ハーブティー。効能を信じるのもあるけれど……本当に心を許せる相手と過ごす時間には、この優しい味が合うの。」

私はカップを両手で包み込んだ。

温かい湯気が指先から胸に沁み込むようだった。

「……私を、親しい人と?」
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