皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
堪えていた涙が、頬を伝ってこぼれ落ちる。

これがもし受け入れられなかったとしても、私はきっと後悔しない。

今、この気持ちを伝えなければ──そう思ったから。

「アレシオ殿下。私は、あなたを……心から、愛しています。」

一瞬、時間が止まったような静寂。

その中で、アレシオ殿下が一歩だけ、後ろへ下がった。

「アレシオ殿下……?」

胸が締めつけられる。もしかして……引かれた?

あまりにも情熱をぶつけすぎた?

声をかけようとした瞬間──

「……その言葉で、俺の心も決まった。」

アレシオ殿下の声が、真っ直ぐに私の胸に届いた。

その瞳には、確かな決意と、愛が宿っていた。

そして次の瞬間だった。

アレシオ殿下が、すっと私の前に片膝をついた。

「え……?」

信じられない光景に、会場がざわめく。

一国の皇太子が、公衆の面前で跪くなんて──そんなこと、前代未聞だった。
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