皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「アレシオ殿下、お止めください!」

私は慌てて手を伸ばし、殿下を立たせようとする。

だが、殿下は首を横に振った。

「いや。これは俺にとって、一世一代の言葉だ。」

その瞳には、王族としてではなく、一人の男としての真摯な想いが込められていた。

「セラフィーヌ・エストレア嬢。」

「は、はいっ……」

名前を呼ばれただけで、胸が熱くなる。

すると、アレシオ殿下はそっと手を差し出した。

「俺と、結婚してください。」

会場のあちこちから、ひゃああっ……!という小さな歓声や驚きの声が漏れる。

その中でも、殿下の言葉だけが、私の耳に真っ直ぐ届いた。

「俺の妃になって……一生、共に生きて欲しい。」

その声は、どこまでも優しくて、どこまでも強かった。

私は、その手を、震える手でそっと取った。

私は、殿下の差し出された手を見つめた。

その手は震えてなどいない。まっすぐに、私の未来を求めていた。
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