皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「……まったくだな。」アレシオ殿下が苦笑する。

「だが、今日は特別だ。少しくらい、幸せに浸ってもいいだろう?」

「その分、明日から倍働いていただきます。」

「俺だけ? 二人で、だろう?」

「……えっ?」

思わず戸惑う私に、アレシオ殿下がそっと微笑んだ。

「君と一緒なら、公務だって楽しめるさ。」

その言葉に、私は胸の奥から笑顔がこぼれた。

――この人の隣でなら、どんな未来も、きっと乗り越えられる。

そして執務官は、重たげな資料の束を私に手渡した。

「これは……?」

戸惑いの声に、執務官は淡々と告げる。

「お妃教育の始まりです。セラフィーヌ様は既に、歴史・法律・礼儀作法に至るまで博学であられます。その分、今後は“執務とは何か”という本質に向き合っていただきます。」

ゴクリ、と自然と喉が鳴った。

まさか、妃として“執務”を学ぶことになるなんて──
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