皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
王妃とは、単なる飾りではなく、国を支える一角なのだと、あらためて突きつけられるようだった。

「……はい。お受けいたします。」

資料を抱える腕に、力がこもる。

王妃教育がただの花嫁修業ではないことを、改めて実感した。

私は皇太子の妻となるだけではなく、この国の未来を共に担う者になるのだ。

アレシオ殿下の隣に立つ、その重さと意味を、胸に刻みながら──

「はあーあ……」

重たいため息が自然とこぼれる。

お妃教育の講義を終え、ようやく一息つけるのはアレシオ殿下の私室。

緊張の糸が緩んだのか、体がソファに沈み込んだ。

「ははは。セラフィーヌも、勉強で疲れることがあるんだね。」

穏やかな笑い声と共に、ふわりと甘い香りが鼻をくすぐった。

アレシオ殿下が、湯気の立つ紅茶を私の前に差し出す。

「……はちみつ入り?」

「うん。君、甘いのが好きだったよね。」
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