皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
そう言って微笑む殿下の顔を見て、胸がじんわり熱くなった。

「すみません。気づかなくて……」

自分で紅茶を淹れるべきだったのに、殿下に先を越されてしまった。

婚約者として、どこか失格のような気がして、情けなくなる。

「そんな顔しないで。」

殿下が私の隣に座り、そっと私の手を取った。

「君は今日、よく頑張った。それだけで十分だよ。」

その一言が、疲れた心にふわりと染み渡った。

「ありがとう、アレシオ殿下。」

「もう“殿下”じゃなくていいだろ?」

「え……?」

「“アレシオ”って呼んでよ。君はもう、俺の婚約者なんだから。」

優しい声に、私は小さく頷いた。

「……アレシオ。」

「うん、いい子。」

その瞬間、アレシオの指が私の頬に触れた。

指先から伝わる熱が、私の心をとろけさせていく。
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