皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「下劣な詮索はやめろ! 俺は彼女を愛し、誰よりも敬っている!」

大臣の顔色がわずかに引きつったが、それでも反論を探そうと口を開きかける。

だが、アレシオの眼光が鋭く射抜き、その言葉を封じた。

大広間を出たアレシオの肩には、まだ怒りの熱が残っていた。

扉の前で立っていた私を見つけると、その表情がわずかに和らぐ。

「セラフィーヌ。」

呼ばれた名に、私は深く一礼した。

「庇って頂き、ありがとうございます。」

「いや、当然のことだ。」

短く、しかし揺るぎない声音。

彼が一歩近づいた瞬間、胸の奥が締め付けられる。

「殿下……」

「ん?」

言葉を飲み込みかけたが、涙が溢れそうで止められなかった。

「……私は、殿下に相応しくないのでしょうか。」

アレシオの瞳が鋭く揺れ、次の瞬間、私の顎をそっと持ち上げる。

「誰がそんなことを言った。」
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