皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
一人、部屋に戻る。

机の上には、父が置いていった“応募用紙”が静かに鎮座していた。

白紙のそれが、やけに重たく感じた。

──私は、本当にこの人を「選びたい」と思っているのだろうか?

それとも、選ばれたいのは……私の方?

沈黙の夜が、ゆっくりと更けていく。

翌日、私は真っ白な封筒を両手に抱えて、王宮の受付へと足を運んだ。

緊張で足取りが固くなる。それでも、私は止まらない。

扉を開けると、奥に見知った背中があった。

金色の髪が光を集め、振り返ったその瞳が、まっすぐ私を見据える。

「──ようやく持って来たか。」

そう言って、アレシオ殿下は一歩前に出て、私の手から封筒を受け取った。

手渡す一瞬、その指先がかすかに触れた気がして、心臓が跳ねた。

封を開けた殿下の目が、一行ずつ読み進めるごとに見開かれていく。

「……歴史、数学、音楽、ダンス、外国語も……Excellent?」
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