皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
無表情でその言葉を聞く。

「おまえのことを、アレシオ殿下は“選ばれたい”と言った。つまり惹かれてるんだよ!」

喜々として語る父の姿が、逆に私の不安を煽っていく。

「──だから、今すぐ応募用紙を書け!」

「……え?」

「明日が締め切りだろう。ならば今しかない。今すぐだ!筆と用紙は書斎に用意してある!」

父の命令口調に、私は背筋をぴんと伸ばした。

「いいな? これは命令だ。おまえは公爵家の娘であり、そして“未来の王妃”なのだ!」

父の決めつけるような言葉に、心がざわついた。

……でも、本当にそうだろうか。

あの時、アレシオ殿下が見せたのは“優しさ”だった。

それとも、“興味”?

それとも──“義務”の一部だったのかもしれない。

「……少し、考えさせてください。」

私はかすれた声でそう告げて、その場をそっと後にした。
< 26 / 234 >

この作品をシェア

pagetop