皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「こんなのは、何かの間違いだ」

通達を読んでから、父は何度この言葉を繰り返しただろうか。

そして、その怒りのまま、私は父に連れられて王宮へと向かうことになった。

正午を回った頃、広間の奥の扉が開き──

国王陛下と、そして皇太子・アレシオ殿下が、ちょうど中から出てきた。

父はすぐさま前へ出る。

「国王陛下。」

「おお、アードルフか。」

名前で呼ばれる父に、私はわずかに驚いた。

国王と父は──それほど信頼のある関係だったのだ。

「今回の、皇太子妃の件についてですが……」

父の声は怒気を孕んでいたが、慎重でもあった。

国王は静かに目を細め、ひとつ頷いた。

「……あれについてはな。私もそなたの娘が良いと、推したのだよ。」

その言葉に、思わず息を飲んだ。

父も、少しだけ肩の力を抜いたように見える。

「それでは──なぜ、このような公募など……」

父の問いに、国王はちらりとアレシオ殿下を振り返った。
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