皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
顔色を失い、試験内容を振り返っているのか、空を見つめるような目をしている者もいた。

──ああ、これはもう、勝負は始まっているのだ。

勉強だけじゃない。

心の強さ、気高さ、そして自分を律する力も、試されているのだと。

ランチが終わり、私たちは再び、筆記試験が行われた大広間へと戻された。

窓の外にはまだ柔らかな午後の光が差し込み、けれどその優雅な陽射しとは裏腹に、室内の空気は一変していた。

令嬢たちはそれぞれに席に着き、息を呑みながら次なる展開を待っていた。

その時、扉が音を立てて開かれた。

「──皇太子アレシオ殿下、ご臨席。」

高らかに響く声とともに、一人の青年がゆっくりと壇上へと現れた。

金糸の刺繍が施された深紅のマント。堂々たる佇まいに、場の空気がぴたりと静まる。

その堂々たる姿に、誰もが息を飲んだ。

「麗しきご令嬢方、本日は筆記試験、本当にご苦労だった。」
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