皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
優しい声が響く。けれどその一言が、緊張の糸をさらにぴんと張りつめさせた。

「三時間という時間、長く、また苦しいものだったろう。特に今回は、私の意向で、ただの知識だけではなく、“君たちがどう考えるのか”を問う問題を多く用意した。」

──やはり、あの問題は殿下が……。

ふと、心に浮かぶ思いに、背筋が粟立つ。

「問いに正解は一つではない。だが、そこに宿る君たちの“意思”と“品格”を、私は見たかった。」

言葉の一つひとつが、胸に落ちていく。

アレシオ殿下の視線が、私たちの列をゆっくりと見渡す。

誰もが静まり返る中、殿下が一歩、壇上の前へと進んだ。

「君たちの回答は、全て拝見させてもらった。」

そして、言葉を区切るように、一瞬だけ間が空いた。

「──それでも、際立って点数が良かったのは――」

その瞬間、私の胸が高鳴る。

アレシオ殿下の瞳が、真っ直ぐにこちらを見据える。

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