皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「アレシオの“強いご希望”でな。詳しくは、本人に聞いてみるといい。」

国王陛下がそう言って一歩退くと、その背後から現れたのは──金色の髪を持つ、あの人だった。

皇太子アレシオ・ヴェルディナ殿下。

整った顔立ちに、涼やかな灰銀の瞳。

若き王位継承者の気品と風格を宿した、誰もが見上げる存在。

私の鼓動が、一瞬だけ跳ねた。

アレシオ殿下は静かに一礼し、口を開いた。

「父王から、エストレア公爵殿のご尽力については、何度も伺っています」

そして、私の方へチラリと視線を向ける。

その目に──何か特別な感情が宿ることを、どこかで期待してしまった。

「ご令嬢のセレフィーヌ嬢が、いかに優秀であるかも。」

それだけだった。

優しい。

でも、それは誰にでも向けられる、儀礼的な言葉。

“私”ではなく、“公爵令嬢”としての評価。

「あ、ありがとうございます。」
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