皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「このような未来を、このような国を──私は、本当に築いていきたいと、そう思った。」

まるで、プロポーズのようだった。

そこには確かな敬意と、深い想いが感じられた。

二人の視線が交差する。

何かを分かち合うように、通じ合うように。

その時間が、果てしなく長く感じられた。

私の胸が、ずきんと痛んだ。

……ああ。

私は、ただおまけだったのだ。

“際立って点数が良かった”というのは、試験としての評価。

“心に届いた”というのは、殿下の本音。

私は数字の中の名前でしかなく、彼の心を動かしたのは、隣に立つこの令嬢だった。

「……おめでとうございます。」

そう小さく呟いた私の声は、誰にも届かない。

胸の中に、ぽつりと影が落ちる。

わかっていたはずなのに。

アレシオ殿下が、最初から私だけを見ていたわけではなかったことなど。

──けれど、こんなに胸が苦しくなるなんて、思ってもみなかった。
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