皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
試験を終え、広間から退出する頃には、夕暮れの光が差し込んでいた。

一日が、ひどく長く感じられる。

赤絨毯を踏みながら歩いていたリディアが、ふぅっとため息を漏らした。

「ねえ、セレフィーヌ。」

振り返ると、彼女は珍しく伏し目がちだった。

「さっきの質問──『この国の未来に必要なこと』。あなた、何て書いた?」

私は、嘘をつく必要もないと思い、素直に口を開いた。

「……福祉の充実よ。具体的には、貧困家庭への支援制度の導入と、教育の無償化について書いたわ。」

リディアが、ふっと小さく笑った。

「やっぱり。実は私も似たようなことを書いたの。孤児院の整備や、育児支援の拡充とか……」

そこで、彼女は少しうつむいた。

「だけど……」

その先の言葉は、小さく、痛みを含んでいた。

「……どうして孤児が生まれるのかって、私、そこまで考えなかったのよね。」
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