皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
超えられない“何か”がある。

それは、生まれ育ちかもしれない。

あるいは、もともと持ち合わせた輝きかもしれない。

私は、じわりと手を握りしめた。

笑おうとしたけれど、うまく笑えなかった。

「……それでも。」

誰にも聞こえないように、私は呟いた。

「私は、私のやり方で最後までやり切る。」

誰かの真似ではなく。

誰かに勝つためではなく。

アレシオ殿下の隣に立ちたい──その想いだけを胸に。

唇を噛みしめながら、私は静かにその場を離れた。

この試験で、選ばれるのはただ三人。

だからこそ、自分のすべてを出し切らなければならない。

それが、例え“届かないかもしれない”と知っていたとしても。
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