皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
ぐるぐると巡る思考に、答えは出ない。

けれどただひとつ、確かなのは――私は、殿下に心を動かされている。

それだけは、嘘じゃない。

屋敷に戻った私は、自室の扉を閉めるなり、ベッドの上で泣き崩れた。

きっと、嫌われた。あの人は私に失望したに違いない。

どうして、あの時──せめて嘘でも「愛しています」と言えなかったのだろう。

エミリアのように、マリアンヌ皇女のように、素直に「あなたを慕っています」と伝えればよかったのに。

「……っ」

胸の奥から熱い何かが込み上げる。涙が止まらない。

会いたい。今すぐにでも、アレシオ殿下に会いたい。

そしてこう言いたい──あなたの側にいたいと。あなたに触れたいと。

抑えきれない想いは、まるで溢れ出す泉のように私の指先を動かした。

筆を手に取り、情熱をすべて注ぎ込むように言葉を綴る。

「アレシオ殿下。あなたに会いたくてたまらないのです。」
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