皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
書き終えた瞬間、我に返った。けれどもう遅かった。

私はなぜか、その手紙を手に立ち上がり、廊下にいた使用人を呼び止めた。

「これを……殿下に、届けていただけるかしら」

使用人が驚いたように目を瞬かせたが、私はそれ以上言い訳もせず、ただ手紙を手渡した。

──胸の鼓動が苦しいほど高鳴っていた。

翌日、奇跡が起きた。

夜も更けた頃、廊下が騒がしくなり、使用人たちが慌ただしく動き回っていた。

私は不思議に思って声をかける。

「どうしたの? 何かあったの?」

すると、一人の使用人が顔を青くして答えた。

「それが……アレシオ殿下がお見えです。」

その瞬間、胸が凍りついた。

どうしよう。あの手紙が、殿下の逆鱗に触れてしまったのではないか。

後悔の波が押し寄せてきて、私はその場に立ち尽くした。

案の定、居間では両親が大慌てしていた。

とくに父は、まだ話を聞く前から頭を深く下げている。

「また何か……娘がしでかしましたか!」
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