皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
三人は厳粛な雰囲気の中で立ち上がり、執務室へと向かっていった。

残された私は、不安と緊張に押しつぶされそうになりながら、その扉が閉まる音をただ見送ることしかできなかった。

講堂で待機している間、私とマリアンヌ皇女の間には、重苦しい沈黙が流れていた。

エミリア嬢が執務室に入ってから、すでにどれほどの時間が経ったのだろう。

部屋の中は静まり返り、時計の針の音すら聞こえてきそうだった。

あまりにも気詰まりで、私は思い切って声をかけた。

「皇女は、執務室に入られたことはございますか?」

マリアンヌ皇女は少し驚いたように顔を上げ、戸惑いながらも小さく頷いた。

「一度だけあります……でもそのときは、ただアレシオ殿下とお話をしただけでした。執務に関わるのは、今回が初めてになります。」

その手が微かに震えているのを見て、彼女もまた緊張しているのだと知る。

「実際、皇太子妃となれば、執務に関わる機会はあるのでしょうか。」
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