半妖の九尾の狐は神巫女を独占中

それから

玖夜様と想いを通わせてから、相談に乗ってもらって背中を押してくれた琥珀に報告をした。



「だから言ったじゃん。種族の差なんて些細な問題だって」



「琥珀は知ってたの?神巫女になると神が居続ける限り生き長らえるって」



「知らなきゃあんな発破かけないだろ」



どうやら琥珀は神巫女は神の神気で生き長らえると知っていたようだ。



だとしたら先に教えて欲しかった。



そうすれば憂いを感じずに済んだのに。



「教えて欲しかったんだけど」



「伝えただろ?種族の差なんて些細な問題だって」



「それじゃ伝わんないって」



苦言を呈すと琥珀は伝えたと言い張る。



それで伝わるのはエスパーしかいないって。



全く・・・と思いながらも、私は表情を緩める。



「だけど・・・ありがとね、琥珀。あなたのおかげだよ」



「別にお礼を言われる事してないし。・・・それに・・・好きな子の為だしね」



「・・・え?」



琥珀から告げられた言葉に私は完全にフリーズする。



琥珀・・・私の事好きだったの・・・?



「・・・・・・プッ、何固まってんだよ。“友達として”だからな。もしかして、俺が恋愛感情で好きだって言ったと思ったのか?」



「そりゃ思うでしょ。琥珀だって美人だけど男の子だし」



「ハハッ。間抜けな話だな。・・・ま、間違ってねぇけど・・・」



琥珀が何かを呟くけど、周りの音にかき消されてしまって何を言ったのかは聞こえなかった。



だけど、その時の琥珀の表情が少しだけ曇っていたような気がしたのは私の気のせいだろうか。



「・・・幸せにしてもらえよ。あの狐に泣かされたら、俺にすぐに言え。しばき倒してやるから」



「うん。泣かされた時はすぐに言うよ」



優しく微笑む琥珀はポンポンと肩を叩きながらその場を去ろうと歩き出す。



私はそんな彼の背中を見送る。



その背中は少しだけ哀愁が漂っているようにも見えた。

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