そのお悩み、私たちの能力で解決します!
「相談のメモ、ありがとうございます!ぜひ詳細を聞きたくてお声がけしたんです」
日下部先輩は少し居心地が悪そうに、うつむいている。
「先輩だろ?このメモくれたの」
五月くんがフランクに話しかけると、椿妃ちゃんが小さくたしなめる。
「旭日くん、先輩ですよ?」
「ああ、そっか、えっと、先輩ですよね?このメモくれたの、です」
五月くんの少し下手な敬語に、日下部先輩はようやく表情をゆるめてくれた。
「あの、敬語でなくても大丈夫です。それと、そのメモを入れたのは、私です……」
「依頼内容は、喧嘩した親友との仲直り、でよいのでしょうか?」
蓮詞が日下部先輩に尋ねると、先輩は少し困ったように眉を下げる。
「仲直り……でいいのかな……」
私たちは一様に首を傾げる。
「仲直りがしたいんじゃ、ないんですか?」
日下部先輩は視線をさまよわせるとぽつりぽつりと話し出す。
「私には、親友がいます……。ゆいこっていう隣のクラスの幼なじみの女の子です。私と彼女は、何をするにもずっと一緒でした」
私たちは、日下部先輩のお話に静かに耳を傾ける。
「誰といるよりもゆいこと一緒にいるのが一番楽しかったし、ゆいこも同じようにわたしといるのが楽しいのだと、思っていました……。でも、そう思っていたのは私だけだったのかもしれません……」
「それってどういう……?」
私の疑問に、日下部先輩は苦しそうに言葉を吐き出した。
「ゆいこ、引っ越すことになったみたいなんです。それを私にだけ教えてくれなかった」
日下部先輩は、ゆいこ先輩が引っ越す話を、他の友人づてに聞いたんだって。
「私は思い切って直接ゆいこに聞いたんです。引っ越すの?どうして教えてくれなかったの?って。そうしたらゆいこは、『ゆりにだけは言いたくなかった』、そう言ったんです」
日下部先輩の表情が今にも泣き出しそうに歪む。
「私はずっとゆいこのことを親友だと思っていて、だからこそ、そんな大事な話、一番に教えてほしかった……」
日下部先輩の言葉に、私の隣に座る五月くんがぐっと拳を握りしめたのがわかった。
「このまま喧嘩したままゆいことさよならなんて嫌なんです。でも、ゆいこはきっと私のことが嫌いなんです。だから、仲直りがしたいなんて、言えなくて……」
それまで静かに聞いていた五月くんが勢いよく立ち上がる。
「日下部先輩、行こう」
「え?」
「そのゆいこ先輩ってひとのところ。絶対今行った方がいい!」
「え?え?」
戸惑う日下部先輩を、五月くんは軽々と持ち上げた。
そうしてものすごい勢いで地学準備室を出ていってしまう。
「お、おい五月!?」
「旭日くん、どこに行くんですか!?」
目をぱちくりさせる蓮詞と椿妃ちゃんに、「私たちも行こう!」と声をかけ、慌てて三年生の教室へと向かった。