売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
そして、クライブはその書類を手に、公爵──つまり彼の父の前に立った。

「これが、クラディアの正式な出自を証明するものです。」

お父様は書類を受け取り、一枚一枚を食い入るように読み進める。そしてある箇所で、ピタリと指先が止まった。

「……なに? アバーン伯爵家は……北方領土設立の、五家のうちの一つ……?」

その瞬間、彼の顔が引きつるように変わった。

「信じられん……。北方領土五家といえば、この国がまだ建国前、群雄割拠していた時代に、北方を治めていた一族……」

クライブは静かに頷いた。

「はい。アバーン伯爵家は、建国王に忠誠を誓い、この国の礎を築いた名家の一つ。

領土は失っても、血筋と誇りは今も受け継がれている。クラディアは、その正当な嫡出の娘です。」

震える手で書類を握るお父様。

まるで、手にしたその紙片が、重すぎる真実であるかのように。

「それが……本当だと、言うのか……?」

< 101 / 158 >

この作品をシェア

pagetop