売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「記録はすべて揃えました。王立文書館、貴族登録局、さらには旧アバーン家の家臣筋にも証言を得ています。」

クライブの声は、揺るぎなかった。

まるで誓いを立てるように。

「俺は、この家に“娼婦”を連れて来たのではない。アバーン伯爵家の令嬢を、正当な妻として迎えるのです。」

お父様は、何も言えなかった。

書類を持つその手が、かすかに震えている──それが、唯一の答えだった。

「だがな──」

公爵の声音が低く唸るように響いた。

「北方領土五家の“正当な当主”だとは言い切れんだろう!」

彼は、クライブが差し出した書類を卓上に叩きつけた。

その音は、部屋の空気を裂くように重く響いた。

「まだ足りないんですか!」

クライブの声もまた、揺るがぬ激情を孕んでいた。

「クラディアは、アバーン伯爵家が事故で没落した当時、まだほんの子供だったんです。成人してもいない幼子に、家を継ぐことなど不可能だと──それが、あなたの言いたいことですか?」
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