売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
そう言うと、お父様がピシャリと声を上げた。

「急にできるわけないだろ!」

でもその目は、どこか優しい。

「任せろ、クラディア。お前が立派にやれるようになるまで、俺たちが支える。」

その瞬間、お父様が──ウィンクをした。

私は、あっけに取られた。

クライブでもなく、他の誰でもなく、お父様が──私に、初めて見せてくれたウィンク。

それは、きっと彼なりの“認める”というサインだった。

胸の奥に、何か温かいものがぽっと灯った。

それからというもの、私の居場所は、すっかり執務室になっていた。

机の上には領地から届いた報告書や申請書が山積みになり、毎日が戦いのようだった。

その傍らには、いつもクライブの姿がある。

机に肘をつき、少し眉間に皺を寄せながら書類を捲っていた。

「なあ、クラディア。お父上が生きていた頃、どうやって執務してたのか、分からないよな。」
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