売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「うーん……」

書類に目を通しながら、私は首をかしげる。

「お父様は、何でも人に相談してたわ。『お伺いを立てる』って感じじゃなくて、『俺はこうするつもりだから、よろしく頼むよ』って。」

思い返すと、あの豪快な笑い声と一緒に、使用人や家臣が頷いていた光景が蘇る。

「よくそんなこと、伯爵家の主として言えたものよね……」

するとクライブが小さく笑った。

「そうか。じゃあ、カルデン家に要請を頼むか。」

「要請?」

「人手だよ。領地経営に詳しい補佐官を、一人や二人貸してもらうように頼む。あの家は本家筋だし、協力は惜しまないはずだ。」

その顔は、心なしか少し疲れて見えた。

「……クライブ、大丈夫?」

「もちろん。でも君が倒れたら元も子もないからな。頼れるものは頼ろう、クラディア。」

「うん。ありがとう。」

こうして二人三脚の執務は、少しずつ形になっていった。
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