売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「……っ」

その言葉に、私は顔を覆って泣いた。

「それに……結婚前に妊娠してなくてよかったじゃないか。」

明るく言おうとしたその声は、どこか寂しげだった。

「クライブ……どうして、そんなに優しいの……?」

涙声で問うと、彼はふっと微笑みながら顔を寄せた。

「クラディアだからだよ。」

迷いのない声だった。

「君には、俺が持っているすべての優しさを注ぎたい。君が笑えるなら、俺は何度だって立ち直れる。だから、泣かないで……」

その言葉に、また涙が溢れた。

けれど今度は、少しだけ温かかった。

「ありがとう……」

私はそっと、彼の胸に顔をうずめた。

ベビー服の出番は、まだ先かもしれない。

でも、それでもいい。

ふたりで望めば、きっといつか──。
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