売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「謝ることじゃないさ」

そう言って、彼は私の髪を撫でてくれた。

「……もう少しだけ、希望を信じよう。な?」

私はこくんと小さく頷いた。

不確かな未来。それでも、信じたい──ふたりで迎える、新しい命のことを。

けれど──それは、たった一週間後に打ち砕かれた。

月のモノが、来てしまったのだ。

「……うう……」

私はベッドの上で、クライブの手を握ったまま泣き続けていた。

希望があったぶん、絶望は深く。

あの白いベビー服が、まるで幻のように思えた。

「……ごめんなさい……」

声はしゃくり上げて震えていた。

「せっかく、ベビー服まで用意してくれたのに……」

クライブは、私の頬に伝う涙をそっと拭ってくれる。

けれど、その指先が優しすぎて、余計に心が痛んだ。

「いいさ。」

彼は微笑んだ。けれど、その笑顔の奥は、少し曇っていた。

「また使えるだろう? いずれ、君との子を抱ける日が来る。」

< 131 / 158 >

この作品をシェア

pagetop