売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「……お願いだ、クラディア……俺を置いていくな……」

誰かのすすり泣くような声が、私の意識の淵で揺れていた。

「私、死ぬの……?」

息も絶え絶えに、私は問いかけた。

怖くて、でも聞かずにはいられなかった。

「死なない。死なせない!」

クライブは強く、私の手を握った。

その熱が、私の冷たい指先に伝わる。

「君は俺のすべてだ。クラディア、俺のそばにいてくれ。」

その必死な声音に、胸がぎゅっと締めつけられた。

「……ちゃんと、食事をしてくれ。」

クライブが差し出すスープ。

でも、体が言うことをきかない。

スプーンを唇に近づけても、咳き込んでしまって飲めなかった。

「クラディア……」

彼がスープを口に含み、そのまま私の唇にそっと口づけた。

「ん……」

あたたかい液体が、クライブの体温と一緒に私の口の中に流れ込んでくる。

ごくん。

私は反射的にそれを飲み込んだ。
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