売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「クライブ……病気が、移るわよ……」

息も絶え絶えに告げると、彼は微笑んで、私の髪を撫でた。

「君の代わりに病になるなら……喜んで、この病をもらおう。」

その言葉に、涙が込み上げた。

弱った体では、それを流すことしかできなかったけれど、心だけは、たしかに震えていた。

「ありがとう……クライブ……」

微かに唇が動き、そう言った瞬間、彼がもう一度、私の額に優しく口づけた。

「生きてくれ。クラディア……俺は君を、絶対に離さない。」

夜が更けても、私は咳き込んでばかりいた。

胸が焼けつくように痛くて、息をするのも苦しい。

熱に浮かされながらも、誰かの声が遠くで聞こえた。

「クライブ、このままクラディアの側にいたら……おまえまで倒れるぞ。」

お父様の声だった。

私を心配してくれている、その声が、どこか必死に響いていた。

「一緒に寝るのは控えるんだ。病気が移るかもしれん。」
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