売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
クライブの手が、スカートの中へと忍び込む。

指が肌に触れた瞬間、私はたまらず声を上げてしまった。

「あっ……ああん!」

会場がざわめく。

男たちの視線が私に注がれているのを感じる。

恥ずかしさと、怒りと、でもどこかにあった“恐怖とは違う感情”が、胸の奥で渦を巻いていた。

私は、演じなければならない。

──でもその中で確かに感じてしまった。

彼の指先が、あまりに優しかったことを。

それが演技なのか、本心なのか。

まだ、この時の私は、わかっていなかった。

クライブの手が、ゆっくりとズボンのベルトにかかる。

金具の外れる音が、やけに大きく聞こえた。

──まさか、本当に……このまま……?

震える視界の先で、彼の指が冷静にベルトを外し、スラックスのファスナーを下ろす。

そして、彼の下半身が露わになった。

「……大丈夫か? ここからが“本番”だぞ。」
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