売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「クライブ……あなたは、それでいいの?」

そう問うと、クライブはふと目を伏せた。

「……俺は、この屋敷で育った。そういうものだと、ずっと思っていたからな。」

「だが──俺は、公爵を継いだら、この家を変えようと思っている。」

クライブの言葉は、静かだけれど確かな熱を帯びていた。

「少なくとも、俺たちと使用人が会話をしてはいけないなんて、そんな馬鹿げた教えは、真っ先に捨てる。」

ソファの背もたれに寄りかかりながら、彼は私をまっすぐ見つめた。

「主従なんて言葉に縛られず、互いに敬意を持てる……そういう家にしたい。もっと、家族みたいな温かい場所に。」

その時だった。クライブが私の腕を取り、ぐっと引き寄せた。

「クラディア。君も──俺の“家族”になってくれ。」

その言葉は、甘く、熱く、私の胸の奥に染み込んでいった。

次の瞬間、クライブは私に口づけた。

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