売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
翌朝、屋敷の奥から激しい声が響いた。

「許さない。絶対に許さんぞ、クライブ!」

何ごとかと思い、私は慌てて執務室の扉を開けた。

「……どうしたの?」

そこには、怒りに震えるお父様と、それに一歩も引かず睨み返すクライブの姿があった。

「クラディア……部屋に戻っていなさい!」

お父様の怒鳴り声に、私は身体を強張らせる。

だがクライブは私を庇うように前に出た。

「どうしてですか!父さんは、俺に早く再婚しろとおっしゃっていたでしょう!」

「だからといって──!金で買った女と結婚するつもりか!貴様、そこまで落ちたのかッ!」

怒りに任せて、父は壁を激しく叩いた。その音に、私はびくりと身を竦める。

「クラディアは──娼婦じゃありません!」

クライブの怒声が、室内に響いた。

「彼女はクラディア・アバーン。ただの“買われた女”なんかじゃない。彼女は……俺が選んだ、たった一人の女性です!」

父は歯噛みしながら、手を拳にしていた。
< 97 / 158 >

この作品をシェア

pagetop