年下上司に懐かれましたがその人には好きな人がいて…そんなあなたの気持ちが知りたいです。
ボールを拾い上げて後ろを向くと皇平くんと橘さんが楽しそうに話していたのだ。
私はその場で立ちつくし、コートの中の練習を見るフリをして2人の所に戻らなかった。
やっぱり橘さんと話すと楽しそう…
「千羽!」
皇平くんの声がして千羽弥は小走りで戻っていく。
「疲れた?」
「あっ、うん……」
「帰ろっか」
「でも皇平くんは見たいんじゃないの?」
「いや、見てたらやりたくなっちゃうしな、千羽は明日早番だろ?」
「…うん」
「おーい、帰るな〜、またな」
千羽弥も隣で頭を下げた。
ありがとうとみんなの声が聞こえた。
車に乗ると、皇平くんはひと仕事は終わったなと言っていた。
それがお返しの事なのか、彼女のフリの事なのか聞けなかったが、そうねと返事をしておいた。
皇平のマンションに車を停めると上がっていく?と聞かれたが、ミルクがいるから帰ると言うとそっかと納得してくれた。
タクシーを呼んでくれて千羽弥は自分の家に帰ったのだった。