年下上司に懐かれましたがその人には好きな人がいて…そんなあなたの気持ちが知りたいです。
「同じチームの橘(たちばな)かほりさん、病院まで俺の車で運んでくれた」
「あ、バレーボールでアキレス腱を切ったの?」
「うん、着地した時に…やっちゃった」
「……まあ…それは仕方ないですね」
「かほり、会社の人が来てくれたから……ごめんね、遅くまで、明日仕事でしょ」
「それは大丈夫だけど…」
「危ないからタクシーで帰って」
「あっ、これを…」
千羽弥は鞄からタクシーチケットを出して橘さんに渡した。
「ありがとうございます、じゃあ皇平くん、お大事に」
橘さんは廊下を歩いて行った。
「もう帰れるんですか?」
「まだ、もう少しかな、会計」
すると廊下を橘さんが戻ってきた。
「ごめんなさい、車の鍵をポケットに入れてた」
「あー、ごめんね、ありがとう」
「じゃあ」
頭をペコペコ下げて橘さんは恥ずかしそうに帰って行った。
「全く……可愛いんだから」
副社長は軽く笑っていた。
「私、来なくても良かったんじゃ?橘さんに最後までいてもらえばよかったんじゃないです?」
「んー、明日仕事だから無理はさせたくないんだよね、俺は千羽弥さんが来るとは思わなかったよ、梶原さんに誰か来てとも言ってないし」
「梶原さんが心配して連絡くれたんです!社長も奥様もいないの知ってるから」
「だねぇ(笑)」
工藤さんと呼ばれ千羽弥は会計を済ませた。