喜びをあなたと一緒に
「そういうわけで、イラストレーターを辞めて、自分のやりたいこと探しをしているんです。」

話し終えた私は、カフェラテを一気に飲み干した。
ずっと握りしめていたからか、カップの取っ手が汗で滑る。
私と聡真さんの間に、しばらく沈黙が流れた。

聡真さんの目は、一点を見つめて動かない。
真剣に考えてくれている、そう思った。

しばらくして、聡真さんが話し始めた。
「会社の中にいるとさ、やりがいの見つけ方とか、落とし所が分からなくなって、つらくなるときもあるよね。俺はさ、カフェをやる前はレストランの厨房で働いてたんだ。自分がシェフになりたいって言って、資格をとって働き始めたくせにどこかしっくりこなくて、モヤモヤしてた。だから、君のその気持ち分かる気がする。」
自分が発した言葉の意味を、振り返って確かめながら話しているような、そんな雰囲気だった。

聡真さんは、カフェを開きたくて、料理の道を選んだのだと勝手に思っていた。
でも、そうじゃなかった。
聡真さんも、葛藤を経て自分の道を見つけていた。

「聡真さんは、どうしてカフェを開こうと思ったんですか?」
思い切って聞いてみた。
聡真さんのことを、もっと知りたかった。
< 34 / 51 >

この作品をシェア

pagetop