喜びをあなたと一緒に
泣いて、泣いて、泣いて、もう涙が出なくなるほど泣いた。
それでも、胸の痛みは変わらない。
脳が、聡真さんとの思い出を勝手に流してくる。

私は、東京に帰ることにした。
やりたいことは見つけたし、何よりも、聡真さんの近くにいるのがつらかった。
頭は麻痺していて、正常な思考なんか出来なかった。
荷物をまとめて、チェックアウトをする。

どこかで見たことのある、50代ぐらいの男性が対応してくれた。

外は雨が降っている。
でも、傘に入れてくれる人はもういない。
私は、コンビニでビニール傘を買って、駅に向かった。
始発で東京に帰る。
自然と流れてくる涙を、隣に座る人に気がつかれないように拭うのが大変だった―。
< 48 / 51 >

この作品をシェア

pagetop