喜びをあなたと一緒に
「その提案はとても嬉しいんです。願ってもないことなんですが、彼女さんは大丈夫かなと心配になって…。」
「へ!?」今度は聡真さんから素っ頓狂な声が出た。
聡真さんらしくもなく、間抜けな顔をしている。

「彼女って、俺の?いないよ。」
「だって、2階から女の人が出てきたのを見ました。すっごく美人な人。」
「それって、一緒にパスタを食べた次の日だよね?あれは妹だよ。顔、似てただろ。」
妹?妹ってあの、妹?
確かに、顔が整っていてクールな雰囲気があるところがそっくりだった。
なんで気がつかなかったんだろうと思う程だ。

「すみません。女の人が出てきたのを見て、誤解して、それで…。」
「それで、俺に何も言わずに東京に帰ったの?」
「はい。そうです。ごめんなさい。」
「はぁ~。よかったぁ。」

聡真さんは、テーブルに両肘をついて、顔を手で覆った。
聡真さんがどんな表情をしているのか知りたくなって、指の隙間から覗こうとしてみる。
「今、見ないで。安心して、絶対変な顔してるから。ずっと、不安だったんだ。ホテルで働いている常連さんから、君が帰ったことを聞いて、嫌われたんじゃないかって。もう、会えないんじゃないかって。君の手に触れたり、抱きしめたりしちゃったからさ。君は優しいから何も言わなかっただけで、嫌がられてたんじゃないかって。」

顔がにやけていくのを感じて、私も顔を手で覆った。
今度は、聡真さんが指の隙間から覗こうとしてくる。
両手が、聡真さんの温かい手に包まれた。
視界が明るくなる。

「ねえ、もう一度聞くよ。俺と一緒にあのカフェを喜びで溢れる場所にしてくれませんか?」

力強い声だった。聡真さんの手にも、力が入っている。
私は迷わずに答えた。
「はい!喜んで。」


暗闇の中を何回も迷って、挫けそうになった。
それでも、咲希や聡真さんに支えられて前に進もうと頑張った。
頑張って良かった。心からそう思える。
未来は、希望で溢れていた。

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