小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第28話 幸せの部屋(5/6)
その頃、ゼフォンは政務の気晴らしに、池の近くを散歩していた。すると、どこからともなく心地よい香りが漂ってくるのに気づいた。
「この香りは……?」
ゼフォンが香りのする方へ向かうと、東屋にシャオレイとシュエン妃がいるのが見えた。
「そなたたちだったのか」
シャオレイたちは立ち、ゼフォンに一礼した。
シャオレイが、ゼフォンへ香を勧める。
「陛下、お試しになってください」
ゼフォンは腰を下ろし、香炉に顔を近づけた。
「うん……よいな」
シュエン妃は、夕陽に照らされたゼフォンの横顔に目が釘付けになっていた。ゼフォンに会えた感激で、彼女は何も言えずにいた。
(陛下……!
こんな間近にお会いできたのは、久し振り……。
ああ、こんなことなら、もっとめかしこんでくればよかった)
シャオレイが言った。
「”お姉様”は、香道の名手なのですよ」
「ほう……?」
ゼフォンが興味を示したのを見て、シュエン妃はためらいがちに口を開いた。
「あの……よろしければ、疲れを癒やす香をあとで届けますわ」
「そうだな」
ゼフォンは、短くうなずいた。
◆
その夜、ゼフォンは紫微殿《しびでん》で上奏文に目を通していた。
そこへ、チャオ内侍がシュエン妃からの差し入れを持ってきた。
「シュエン妃様よりの、香と香り袋でございます」
ゼフォンは、シュエン妃が刺繍した香り袋を手に取った。かぐわしい香りが、ゼフォンの疲れを癒した。
「ふむ……」
(シュエン妃――メイレンの幼なじみだから遠ざけてはいたが……。カナリアとも仲が良いのか)
チャオ内侍が尋ねた。
「陛下、夜伽はいかがされますか?」
その頃、ゼフォンは政務の気晴らしに、池の近くを散歩していた。すると、どこからともなく心地よい香りが漂ってくるのに気づいた。
「この香りは……?」
ゼフォンが香りのする方へ向かうと、東屋にシャオレイとシュエン妃がいるのが見えた。
「そなたたちだったのか」
シャオレイたちは立ち、ゼフォンに一礼した。
シャオレイが、ゼフォンへ香を勧める。
「陛下、お試しになってください」
ゼフォンは腰を下ろし、香炉に顔を近づけた。
「うん……よいな」
シュエン妃は、夕陽に照らされたゼフォンの横顔に目が釘付けになっていた。ゼフォンに会えた感激で、彼女は何も言えずにいた。
(陛下……!
こんな間近にお会いできたのは、久し振り……。
ああ、こんなことなら、もっとめかしこんでくればよかった)
シャオレイが言った。
「”お姉様”は、香道の名手なのですよ」
「ほう……?」
ゼフォンが興味を示したのを見て、シュエン妃はためらいがちに口を開いた。
「あの……よろしければ、疲れを癒やす香をあとで届けますわ」
「そうだな」
ゼフォンは、短くうなずいた。
◆
その夜、ゼフォンは紫微殿《しびでん》で上奏文に目を通していた。
そこへ、チャオ内侍がシュエン妃からの差し入れを持ってきた。
「シュエン妃様よりの、香と香り袋でございます」
ゼフォンは、シュエン妃が刺繍した香り袋を手に取った。かぐわしい香りが、ゼフォンの疲れを癒した。
「ふむ……」
(シュエン妃――メイレンの幼なじみだから遠ざけてはいたが……。カナリアとも仲が良いのか)
チャオ内侍が尋ねた。
「陛下、夜伽はいかがされますか?」