小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第29話 死線上の恋(3/5)
◆
そのあと、琴房で寝間着に着替えたシャオレイへ、フェイリンが手招きした。
「来い」
「……?」
シャオレイと一緒に寝殿に入ったフェイリンは、寝台の横の壁に手をかけた。そのまま静かに力を入れると、ゆっくりと横に開いた。
シャオレイが目を丸くしていると、そこには小さな隠し部屋が現れた。中には寝台と、地下の隠し通路へ続く扉があった。
フェイリンが言った。
「今夜からここで寝ろ」
「――どうして?」
「暗殺されないとも限らないからな」
「暗殺……」
シャオレイは息をのんだ。
フェイリンは独り言のようにつぶやいた。
「俺の家族は、寝込みを襲われた――」
フェイリンに、12年前の記憶がよみがえっていた。
(あの夜……俺は、物置に閉じ込められていた)
◆
それは、武具の点検を怠ったフェイリンへの、仕置きだった。
「備えを怠る者に、刀剣を持つ資格はない」と、祖父に鍵をかけられたのだ。
だが、皮肉にもフェイリンを助けたのは、厳しさゆえの愛情だった。
物置でうたた寝から覚めたフェイリンが知ったのは、一族が惨殺されていく様子だった。焼け焦げる匂いと響く悲鳴に、闇の中でフェイリンは何もできなかった。
フェイリンが気づいたときには、知り合いの家でかくまわれていた。なぜ自分が逃げられたのか、フェイリンはまったく思い出せなかった。
翌日、実家に戻ったフェイリンが目にしたのは――跡形もなく燃やされた屋敷。黒焦げの、家族や使用人の亡骸。
その日から徐々に、フェイリンの髪は白く染まっていった。まるで、永久に喪に服すように。
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そのあと、琴房で寝間着に着替えたシャオレイへ、フェイリンが手招きした。
「来い」
「……?」
シャオレイと一緒に寝殿に入ったフェイリンは、寝台の横の壁に手をかけた。そのまま静かに力を入れると、ゆっくりと横に開いた。
シャオレイが目を丸くしていると、そこには小さな隠し部屋が現れた。中には寝台と、地下の隠し通路へ続く扉があった。
フェイリンが言った。
「今夜からここで寝ろ」
「――どうして?」
「暗殺されないとも限らないからな」
「暗殺……」
シャオレイは息をのんだ。
フェイリンは独り言のようにつぶやいた。
「俺の家族は、寝込みを襲われた――」
フェイリンに、12年前の記憶がよみがえっていた。
(あの夜……俺は、物置に閉じ込められていた)
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それは、武具の点検を怠ったフェイリンへの、仕置きだった。
「備えを怠る者に、刀剣を持つ資格はない」と、祖父に鍵をかけられたのだ。
だが、皮肉にもフェイリンを助けたのは、厳しさゆえの愛情だった。
物置でうたた寝から覚めたフェイリンが知ったのは、一族が惨殺されていく様子だった。焼け焦げる匂いと響く悲鳴に、闇の中でフェイリンは何もできなかった。
フェイリンが気づいたときには、知り合いの家でかくまわれていた。なぜ自分が逃げられたのか、フェイリンはまったく思い出せなかった。
翌日、実家に戻ったフェイリンが目にしたのは――跡形もなく燃やされた屋敷。黒焦げの、家族や使用人の亡骸。
その日から徐々に、フェイリンの髪は白く染まっていった。まるで、永久に喪に服すように。