小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第62話 現実への引き戻し(2/4)
シャオレイは、「そういえば――」と呟いた。
「どうしてミアルの居場所を告げた小鳥を、すんなり信じたの?
それに、初めて会ったとき、私のことを“妖女”って言ってたわよね」
フェイリンがぴくりと眉を動かす。
「覚えてないな。
そなたが自分から言い出したんだろう」
「そうかしら……?
しばらく私のことを妖女って呼んでたのに……」
そのとき、フェイリンの頭に少年の日の記憶がよみがえった。
祭の夜に、悪友の誘いでこっそりと観た演劇。そこに、男をあやしげな術で惑わす“妖女”が登場していた。
ひと目で妖女の虜《とりこ》となった少年のフェイリンは、こっそり伝奇物を読み漁り始めた。両親に見つかって禁止されてからも、妖女の存在は、フェイリンの奥深くに刷り込まれていた。
だから、妖艶なシャオレイと出会った瞬間に、フェイリンの口から「妖女……?」と出た。――本物の”妖女”に出会えた警戒と驚き、悦び、そしてほのかな期待を宿して。
フェイリンは、ひそかに恥じていた。
(まさかあれだったとは……)
「――俺は、いったんは信じるようにしてる。
それに、そなたが嘘をついていないと分かっていたからな……」
そう言いながら、フェイリンはそっと後ろから”小鳥”を撫でた。
その瞬間、シャオレイの心臓が小さく跳ねた。
温かくて優しいフェイリンの指先に、シャオレイの鼓動は速くなった。
シャオレイは戸惑いながら、目を伏せた。
(そういえばこの人……初めて会ったときから、ずいぶん変わったわ)
思い出すのは、フェイリンに刀を向けられたあの夜だった。
(――いえ。本当は、最初から優しかったのかもしれない)
シャオレイがそう思う理由――それは、あの夜のフェイリンは、結局は刀を収めたからだ。いくら、シャオレイの”小鳥”がフェイリンを威嚇したとはいえ。
シャオレイの中に、柔らかい火がともっていく。
(いつも無愛想で上から目線で、偉そうだけど――優しい)
シャオレイは、「そういえば――」と呟いた。
「どうしてミアルの居場所を告げた小鳥を、すんなり信じたの?
それに、初めて会ったとき、私のことを“妖女”って言ってたわよね」
フェイリンがぴくりと眉を動かす。
「覚えてないな。
そなたが自分から言い出したんだろう」
「そうかしら……?
しばらく私のことを妖女って呼んでたのに……」
そのとき、フェイリンの頭に少年の日の記憶がよみがえった。
祭の夜に、悪友の誘いでこっそりと観た演劇。そこに、男をあやしげな術で惑わす“妖女”が登場していた。
ひと目で妖女の虜《とりこ》となった少年のフェイリンは、こっそり伝奇物を読み漁り始めた。両親に見つかって禁止されてからも、妖女の存在は、フェイリンの奥深くに刷り込まれていた。
だから、妖艶なシャオレイと出会った瞬間に、フェイリンの口から「妖女……?」と出た。――本物の”妖女”に出会えた警戒と驚き、悦び、そしてほのかな期待を宿して。
フェイリンは、ひそかに恥じていた。
(まさかあれだったとは……)
「――俺は、いったんは信じるようにしてる。
それに、そなたが嘘をついていないと分かっていたからな……」
そう言いながら、フェイリンはそっと後ろから”小鳥”を撫でた。
その瞬間、シャオレイの心臓が小さく跳ねた。
温かくて優しいフェイリンの指先に、シャオレイの鼓動は速くなった。
シャオレイは戸惑いながら、目を伏せた。
(そういえばこの人……初めて会ったときから、ずいぶん変わったわ)
思い出すのは、フェイリンに刀を向けられたあの夜だった。
(――いえ。本当は、最初から優しかったのかもしれない)
シャオレイがそう思う理由――それは、あの夜のフェイリンは、結局は刀を収めたからだ。いくら、シャオレイの”小鳥”がフェイリンを威嚇したとはいえ。
シャオレイの中に、柔らかい火がともっていく。
(いつも無愛想で上から目線で、偉そうだけど――優しい)