小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第62話 現実への引き戻し(3/4)


 そのとき、フェイリンがさらに体を寄せて「ミアルから聞いた」と呟いた。

「な……何を?」

「俺がいない間でも、そなたの心の支えになっていたと」

 シャオレイの胸が、大きく波打った。
(ミアルったら……!
なんてことを吹き込んだの!?)

「あー……あれは……あなたの悪口言ってたの。
だから、元気になれただけよ」

「どんな……?」

「”シラサギくらいには成長したな”って、あの言い方で褒めてるのよ――って……」

「それから……?」

「鷹になったら憎らしい口を引っかいてやる――とも言ったわ……」

 フェイリンは、シャオレイの髪に顔をうずめた。
「それだけか……?」

 フェイリンの吐息が、シャオレイの首すじにかかっている。

「そ……そうよ」

「隠し部屋の寝心地はどうだった……?」

「悪くないわ……よく眠れたし……」

「かんざしは……?」

「落ち着いた意匠だから、どの衣にも合わせやすかったわ……今みたいな格好でも……。
あと、握りやすいし……」

 フェイリンが小さく笑った。

 シャオレイは、目を伏せて言った。
「ねえ……何が言いたいのよ……」

「俺は、そなたに慕われている。
そばにいない時ですら……想われていた」

 喜びがにじんだフェイリンの声が、シャオレイの耳をくすぐった。
(こんな声……聞いたことない。
いつものぶっきらぼうなフェイリンの口調とは、ぜんぜん違うわ。
なんて優しくて、柔らかいの……)

 シャオレイの鼓動が速くなる。
(もしかして、笑ってる……?
いつも無愛想なのに……?
なぜそんなに嬉しいの……?
そんなに私が欲しいの……?
フェイリン……今どんな顔してるの……?)

 口に出せない問いが、シャオレイの中で渦巻いていた。
 やがてその中心に、フェイリンへの願望が湧いた。

 見たい。

 だが、振り向いてフェイリンと目を合わせたら――その先を、シャオレイは考えないようにして、必死で耐えていた。

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