小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第64話 ゼフォンの拒絶
第64話 ゼフォンの拒絶(1/6)
◆
紫微殿《しびでん》の執務室には、油灯のあかりが揺れていた。だが、その炎のぬくもりとは裏腹に、室内に流れる空気は、凍てついていた。
泥にまみれた男装姿のまま、シャオレイは床にひざまずいていた。
衣の裾は濡れて重く、長靴《ちょうか》は泥にまみれていた。髪も乱れ、額には乾きかけた土埃がこびりついている。
それは、後宮の寵妃の姿とは、とても思えなかった。
だが、ゼフォンは、そんなシャオレイのみじめな姿を見ても――一切、顔色を変えなかった。
気づかいも、慈しみも、もう彼には無かった。
フェイリンに庇ってもらったおかげで、シャオレイは少しだけ落ち着きを取り戻していた。
それでも、シャオレイはかすかに震える声で言った。
「以前、私に仕えていた侍女のシンルイが、皇后殿下の内通者でした」
ゼフォンの眉がわずかに動いた。彼は、”聞いていない”と言いたいのだ。
シャオレイは、たどたどしく言葉を続けた。
「そのことに気づいたのは、ほんの偶然でした。
――それから、皇后殿下に疑いを抱くようになり……ある晩、隠し通路から侵入してきた、あの男に出会いました。
初めは敵だと思いましたが……話すうちに彼が、ラン公子《こうし》――ラン・ジュンに恨みを持っていることを知りました」
自供の内容は、事前にフェイリンと口裏を合わせていた。
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紫微殿《しびでん》の執務室には、油灯のあかりが揺れていた。だが、その炎のぬくもりとは裏腹に、室内に流れる空気は、凍てついていた。
泥にまみれた男装姿のまま、シャオレイは床にひざまずいていた。
衣の裾は濡れて重く、長靴《ちょうか》は泥にまみれていた。髪も乱れ、額には乾きかけた土埃がこびりついている。
それは、後宮の寵妃の姿とは、とても思えなかった。
だが、ゼフォンは、そんなシャオレイのみじめな姿を見ても――一切、顔色を変えなかった。
気づかいも、慈しみも、もう彼には無かった。
フェイリンに庇ってもらったおかげで、シャオレイは少しだけ落ち着きを取り戻していた。
それでも、シャオレイはかすかに震える声で言った。
「以前、私に仕えていた侍女のシンルイが、皇后殿下の内通者でした」
ゼフォンの眉がわずかに動いた。彼は、”聞いていない”と言いたいのだ。
シャオレイは、たどたどしく言葉を続けた。
「そのことに気づいたのは、ほんの偶然でした。
――それから、皇后殿下に疑いを抱くようになり……ある晩、隠し通路から侵入してきた、あの男に出会いました。
初めは敵だと思いましたが……話すうちに彼が、ラン公子《こうし》――ラン・ジュンに恨みを持っていることを知りました」
自供の内容は、事前にフェイリンと口裏を合わせていた。