小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第64話 ゼフォンの拒絶(5/6)


「そうじゃないわ……!」
 シャオレイは思わず叫んだ。だが、これ以上余計なことを言えば、フェイリンがより窮地に追いやられる。
 だから、固く口をつぐんだ。
(フェイリンは、私に力を貸してくれただけ……!ミアルのことだって、私の頼みを聞いてくれただけ。フェイリンには何の得にもならないのに、ミアルを助けに行ってくれたのよ……)
 だが、涙は知らぬ間にシャオレイの頬を伝っていた。

 シャオレイの涙を見て、ゼフォンは初めて“感情”を浮かべた。
 それは、悲しみでも怒りでもなく――嫉妬だった。
 ゼフォンはシャオレイに詰め寄り、彼女のあごをつかんだ。
「なぜ奴をかばう……?あの男と、どこまで“通じて”いた……?」
 ゼフォンの瞳が、冷たい火のように揺れている。

 シャオレイは必死で首を振る。
「彼とは“何も”ありませんでした……」

「予を裏切ってでも、守る価値のある男なのか!?」

 その言葉は、シャオレイの胸を深く切り裂いた。
 それでも、シャオレイは、喉の奥から絞り出した。
「私が守りたいのは、あなたよ……!」
 回帰転生したあの日から今日まで、シャオレイの頭にあったのは――ゼフォンの命《いのち》を守ること。
 ゼフォンを愛するがゆえの、シャオレイの献身だった。

 だが、ゼフォンはシャオレイの言葉を侮辱と受け取った。
「予は幼子《おさなご》ではない!
女子《おなご》に守られたいとは思わぬ!」

 ゼフォンの怒りが向いているのは、誰よりも彼を愛し、想ってきた自分――その事実だけが、シャオレイに深く突き刺さっていた。

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